光と波長とエネルギー Vol.1
今回は「光と波長とエネルギー」について科学的な現象の原理的な視点で説明します。本編だけではボリュームが多くなるため、複数回に渡ってお送りする予定です。
光とは 皆さんは「光」と聞いて真っ先になにを思い浮かべますか。暗闇を照らす灯り、照明、太陽などが挙がると思います。「光」は広く定義すると図1に示す電磁波(電気と磁気を帯びた波動が伝わる現象)のひとつです。ドイツ人科学者のハインリヒ・ヘルツによる発見と言われています。電磁波という言葉を出すと尻込する方もいらっしゃるかと思いますが、なるべくわかりやすく説明していきます。

図1
電磁波は波(水が波打つ状態)の性質をもつことを理解してください。波の性質とは図2に例を示したように散乱(周囲に飛び散る:夕日がぼんやり滲んだように見える)、屈折(折れ曲がる:ストローが水面で曲がったように見える)、反射(跳ね返る:光線が跳ね返る)、回折(回り込む:夕日が木々に遮られているにも)あるいは干渉(別の波と交わる:CDの記録面の色調が変わる。入射する光の増幅や減衰が起こる)です。一方で、「光」を狭い意味でいえば、日常にある可視光線(人間の目で見ることができる光)を指しています。可視光線を浴びたり、もちろん見たりしても生物や人間に悪い影響は何もありません。つまり、安全な光です。安全な理由も後述します。

図2
可視光線とは 可視光線とは人間目線の言葉です。前述したように人間が理解する色で光を表現しており、皆さんが知っているすべての色を表すことができます。少し踏み込みますと、プリズムをご存じでしょうか。透明な角ばった形(材質はガラスや水晶)で、小学校の理科あるいは中学校の物理の授業で使われた方もいるでしょう。これにある方向から細い白色光(LED等の懐中電灯など)を当てるとプリズム内部から色が分かれ始め、虹のような7色の光が飛び出してきます。端的にいうと、図3に示すような「白色光がプリズムと通じて分光された」といいます。白い光を7つの光に分けた状態です。白色光がプリズムの最初の壁に当たって屈折します。屈折した光は波長ごとに赤から紫に色分けされています。さらに2度目の屈折によって分かれる大きさが増幅されていることがわかります。滝から落ちる水が飛沫をつくるとき、そこに太陽光が射すと、虹ができる現象も同じです(=太陽光の可視光成分が分けられて虹色に見える)。無数の水滴で屈折が起こるため、大きな虹ができます。

図3
これとは反対に、すべての色の光を束ねると白い光ができることを意味します(=青色、赤色、緑色の光(三原色)を混ぜると白色の光になる:図4)。蛇足ですが、青い色のLEDが実用化されたため、ディスプレイで白色を表現できるようになりました。それでは、黒色はどうでしょうか?黒はすべての色を発していないか、すべての光が吸収された状態です。人間の目は可視光の範囲しか見ることができないので、色がなにもない空間は真っ暗であると判定します。しかしながら、真っ暗な空間にも存在する電磁波があります。ちょっと掘り下げただけでも興味深いことがおわかりいただけます。

図4
光と波長 話を「光」の範囲全体に戻します。光は電磁波であることが発見されました。つまり「波」の要素をもっています。波紋のような状態をイメージしてください。波紋というと正弦波ですね!単純な式で表すと、y=Asinxで図5に示します。y=0から正弦波が紙面の右へ進む場合、最初の極大点からy=0を通過し、最初の極小点を経てふたたびy=0になるまでの距離を1波長といいます。正弦波の1波長は2πです。

図5
波長は光の種類に応じて変わります。ここで、前述のプリズムを思い出してください。図3のようにプリズムを通して白い光から色のついた光に分けられます。各色はそれぞれ固有の波長をもち、380~780nmの範囲に限定されます。これを図6に示します。380nmから紫色を帯び、570nm付近で黄色、780nmで赤色を発色します。これは波長が伸び縮みすることに応じて可視光線の色が変化していることを表しています。380nmより短い波長の光は紫色の外側の光、つまり紫外線(Ultraviolet, UV)といい、780nmより長い波長の光は赤色の外側の光、つまり赤外線(Infrared, IR)といいます。紫外線と赤外線には色がつけてありませんが、その理由はもうお判りでしょう。そうです、人間の眼では認識できない光なのです。

図6
紫外線はお肌の大敵とよく言いますが、波長が短くなると、人体の細胞レベルで光が到達してくるようになります。そのときに細胞が傷つくことがあるためです。短い波長の光は人類にとって危険でもあり、有用でもあります。そのひとつがX線です。その波長は1nm程度で紫外線の1/400です。これほど波長が短いX線は分子、原子レベルの隙間を通過することができるので科学技術計測、医療の各分野でたいへん有用な光です。一方で、人体にとってX線を一度に多く浴びるとことは有害です。X線が生体機能を破壊してしまうからです。ここまで説明すると日常でも使われる単語に到達し、その意味も理解していただけると思います。
次号に続く…。


