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半導体:光と熱との関わり Vol.4

今回はn型半導体を説明していきます。

不純物のドーピング  前回の最後で、真性半導体の電子構造は添加物によって意図的に変えることができると述べました。高純度シリコンに異種元素を不純物として添加する方法が採られます。これをドーピング(Doping)といい、添加される元素をドーパント(Dopant)といいます。

n型半導体  シリコン真性半導体をn型半導体に変化させるドーパントは、シリコンの価電子より1個電子が多い元素を選択します。図1に示す周期表を見ると、14族のシリコン(Si:緑枠)の右隣りは15族元素のリン(P:赤枠)です。周期表で右隣りの元素は電子数が1個多くなります。

図1

電子が1個多い状態は図2に示す電子配置からわかります。シリコンの電子は3s軌道と3p軌道に4個存在し、これが価電子となります。一方で、リンは3p軌道に電子が1個多く、価電子が計5個となります。

図2

リンをドーピングしたシリコンの結晶を二次元で表すと図3のようになります。シリコン原子から入れ替わったリン原子の周囲には電子が1個多くなります。この電子は結合に関与しない非結合電子として、周辺を自由に動くことができます。この状態は以前紹介した導体と同じですね!そうです、自由電子が生じた状態になります。自由電子が生じればマイナスの電荷を運ぶキャリアが発生します。この自由電子を動かすエネルギーが外部(光、熱あるいは電気)から供給されれば、この半導体に通電する回路が形成されます。電子は負(Negative)の電荷をもつため、Negativeの頭文字をとって、n型半導体と呼ばれます。n型半導体に変化させるドーパントはリンの他にヒ素などがもちいられます。

図3

電子構造  再度繰り返しになりますが、価電子4個のシリコン真性半導体に微量の価電子が5価の元素(リン、ヒ素など)をドーピングすることによって電子が1個余剰となります。余剰の電子は図3の模式図に示すような結合に関与しない電子に相当します。このような電子をもつn型半導体のエネルギーバンド(電子構造)を図4に示します。(a)の真性半導体の禁制帯にはなにも存在しませんが、(b)を見ると禁制帯の中にEDで表されたエネルギー準位が形成されています。余剰となった電子は伝導帯の下端に近い位置EDに生じて、比較的高いエネルギーを持ちます。余剰の電子は自由に動ける電子でありながら、リン原子にゆるく拘束されているためエネルギーが高く、伝導帯の下端近くに存在します。

図4

n型半導体に形成するエネルギー準位はドナー準位と呼ばれます。リン原子から電子を1個供与されることに由来しています。ドナー準位と伝導帯の下端の準位のエネルギーギャップ(差)が小さくなることに気づきます。ドナー準位の電子は、外部から与えられる光や熱によるエネルギーが小さく済み、伝導帯へ励起されやすくなります。しかし、導体のようにフェルミ準位EFは伝導帯に接しておらず、自由電子は外部刺激によってのみ発生します。この特性を利用すると、通電させたり絶縁させたりと、電気伝導性を制御(スイッチング)することが可能となります。この特性を半導体といいます。

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