半導体:光と熱との関わり Vol.1
これまで光(電磁波)の種類を決める波長とエネルギーについて解説してきました。本稿から内容をさらに発展させて半導体に話が移りますが、これまでの光と熱と深く関わってきます。半導体とは一般的には基板の上に描かれた回路でデバイスのようなものではありません。半導体という物質固有の性質のことをいいます。半導体とはなにか説明するにはそのような物質を構成する「電子」が深くかかわってきます。光や熱または電場によって電子の動きが変化しやすくなる物質のことを「半導体」といいます。なるべく平易な説明を進めていくつもりですが前回と同様に、大学で教わる量子力学の範疇も含まれるため難しい内容になるかもしれません。ご了承ください。
半導体を説明する前に導体と絶縁体の三種類に区別されるうち、今回は導体を説明します。
導体 「導体」とはなにか、電気を流しやすい材質のことです。電気が流れるとき媒体(キャリア)が電子です。導体の材質として代表的なものが鉄、銅、金、アルミニウムなど金属であることは皆さんご存じかと思います。その例は枚挙に暇がありません。なぜ金属は電気を流しやすいのか?キャリアである電子が金属の結晶格子内を自由に動き回れる(=自由電子)からということを高校で学びます。なぜ動き回れるのかは大学レベルの話になります。その理由を電子構造(急に専門的になりますが、そんなものかと受け入れてください。エネルギーバンド理論として後で説明します)で説明します。金属原子が膨大な複数個が集まると金属結晶を構成できます。そのとき、金属の電子はエネルギーの低い方から順に満たされます。満たされた状態を価電子帯といいます。一方で、電子が存在しない状態も作られ、これを伝導帯といいます。この状態を電子構造といいます。金属の電子構造は価電子帯と伝導帯が引っ付いた状態で成り立っています。これを図1に示します。

図1
価電子帯と伝導帯が引っ付いた状態を拡大すると、両者の境界部分から伝導帯側に赤色が染み出していることがわかります。これは本来、伝導帯には存在しない電子がこの範囲まで移動できることを模式的に表しています。電子が染み出せる上端のエネルギー値をフェルミ準位といいます。価電子帯と伝導帯が近接し、フェルミ準位が伝導帯に染み出した結果、価電子帯の電子は伝導帯側に自由に存在することができるようになります。このような自由電子が存在する金属は、図2に示すように電気を流しやすくなります(電気伝導性)。

図2
一方で、熱を受けると自由電子がさらに活発に動くようになり、他の電子や金属原子とぶつかることが増えます。これを繰り返すことによって図3に示すように比較的温まりやすい性質をもっています(熱伝導性)。

図3
光との関係でいうと金属光沢が挙げられ、この要因も自由電子です。金属に光が当たるとその電磁波の波長に反応して自由電子が振動しはじめます。自由電子の振動が止まるときに受けた光と同じ波長の光を放出することによってピカピカの輝きが表れます。図4に示すような自由電子による光の吸収と全反射が一瞬で起こる現象です(光反射性)。

図4
半導体と聞くと、デバイス関係かと思い浮かべることが多いと感じます。その一方で、その本質は多岐にわたっていて上述した諸性能を利用して多くの産業が成り立っています。


