耐火物とは 番外編1

耐火物の英語訳はrefractory(リフラクトリー)である。日常なじみのない難しい単語なので、この言葉を調べてみた。単語の構成は、
refractory=re – fract – ory
に分解されるそうだ。
語幹のfractはラテン語のfractusから由来して(粉砕する、壊す、折れる、砕く)を意味する。なお、fractusは同じラテン語のfrangereの過去分詞。fractusより派生した英単語を数例以下に挙げる。
- fraction(フラクション:破片、断片、分数)
- fracture(フラクチャー:砕く、骨折、こわれた部分)
- fragile(フラジャイル:こわれやすい、もろい)
- fragment(フラグメント:破片、かけら)
- frail(フレイル:もろい、かよわい)
- fractal(フラクタル:自己相似性を示す造語)
など、なじみある単語が並ぶ。
接頭辞のreがつくと、“再びこわれない”転じて、“変化しにくい”、“影響がほとんど及ばない”を意味するようになった。「そのような性質を持つもの」を意味する接尾辞oryを付してrefractoryとなる。このような語源からrefractoryは“すぐにこわれない、こわれても元に戻る性質のもの”を意味する。
医学生理学の分野では、“難治性の”、“処置に反応しない”等、ネガティブな表現に用いられるようである。その一方で、高温材料の分野では「耐火性の、耐火物」と形容詞的、名詞的に訳される。高温下でも変化しない性質をポジティブにとらえたのかもしれないと思いを巡らせている。